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食品スーパーマーケティングの黄金律③

前号、前々号に引き続き食品スーパーの繁盛化の鉄則をお届けします。

〇「店舗の見方」のコツとは
今回は小売業のコンサルティングの基本である「店舗の見方」です。競合店との激しい競争に打ち勝つために競合店のチェックや他地域のモデル店、先進店を見るということは小売業の成長のための必須実施事項ですが、なかなか上手にできないものです。競合店の商品が良かった、悪かったというだけではなく“その企業と店舗のレベルを正確に見る”そのコツをお話します。
食品スーパーをはじめショッピングセンター、ホームセンターなど小売業の指導をしていて「うちの店は(他の店と比較してレベルは)どうですか?」という話を良く聞かれます。コンサルタントという職業柄、毎年毎年年間数百の同種の店舗や企業を見ているため「良い会社(店)、問題がある会社(店)は短時間で判断できるようになりました。難しいことを抜きにして売れている企業や店には共通のエネルギーがあり、そういった部分を直感的に感じることも多くあります。やはり伸びている企業には元気で明るいムードが漂っているからです。しかしノウハウとして必ずチェックして見ている項目があります。まず会社の見方です。その会社が良い会社か良い会社でないかを見分ける考え方とチェック個所を見極める視点は以下のとおりです。

〇当たり前の状態のレベルをまず最初に確認しよう
皆さんはレベルが高い会社は“徹底してやっている”からレベルが高いということを認識していますか?総じて毎日毎日のお客様に対する活動で手を抜くことができない小売業の世界でレベルが高いと言われる企業は何事も徹底しているという一言でがピッタリであると痛感することが多くあります。つまりそういう企業はあたりまえのようにやらなければならない事を徹底してやっているのです。つまりレベルの高い企業や店は何も特別のことをやって「レベルが高いですね」と言われているのではないということです。言い換えればそれは、今まで視察や雑誌などでも“よく見たことがあるようなこと”や見方を変えれば“他の業界や業態ではあたりまえのように”やっているようなことを粛々とやっているだけなのです。まったくこれまで見たことのないと感じるようなことでも多くは良く見ると基本の応用レベル、発展系として実行していることが多くなっています。まずこういったことを知って店舗を見ることが大切です。特別変わったことが無い店舗を「あの店はたいしたことは無い」「特に見るべきところもなく普通である」と片付ける方が多くありますが、もう少し掘り下げた見方が必要だと思います。逆にこの点に関しては本当にあった面白い話しをご紹介しましょう。ある食品スーパーのお仕事をした時のことです。その店の笑えない話をお聞きしました。「複数の店舗のうち、昔は良かったものの最近は競合に押されて、何をやってもうまくいかない店になってしまった店舗がありました。何をやっても駄目なのでどうにでもなれと思って酒と惣菜のコーナーを大幅にいじった店舗をつくりました。それでも店舗の成績はあいかわらず悪いままでした。維持もできずもう閉店しようかどうしようかと思案していた時点でたまたま食品スーパーの全国雑誌に掲載されてしまいました。その結果全国から視察者が多く訪れることとなりました。成績はあいかわらず悪かったのですがいろいろ質問されてわざわざ来てもらって悪いなと思いながらも質問に応えていたら、見学者のいくつかの企業が同じタイプの店を作ったのです。珍しさが受けたようです。ところが心配したように自分の店舗と同様それらの店舗も大苦戦となりやがて維持できずに閉店にいたったということです。」
閉塞感がある企業ほどわかりやすい新しい切り口に飛びつきがちです。そういう発想も非常に大切です。ところが物珍しさだけで飛びついてしまっては“他社の実験店”を“成功事例”と勘違いしてしまうこともあるということです。これらの同種の例は特に飲食業では多く見られると重います。こういった斬新さを見るときはその企業の当たり前のレベルの高さがどうかを見ることがまず重要です。当たり前のレベルを実行できていない企業の打ち出す“斬新さ”はその実行の意味をよく考えてみることが大切です。

〇基本的な店舗の見方
それでは、まず店舗のどこをまず見てその店舗、企業を判断するかです。私の考え方は以下のとおりです。
①汚れやすいところは汚れていないか(トイレ、サービスカウンター、売り場の角、棚の上、棚の隅、入り口まわりなど)
②パートやアルバイトの人がきっちりとした挨拶ができているかどうか
③パートやアルバイトの人に売り場や商品(特にPB商品やこだわり商品)やサービス、会社のことを聞いた時にしっかりと答えることができるか
④POPが戦略的にそして系統的に作成されているか(つまりどのPOPがどういう意味なのかが一目で理解できるか)
⑤売り場の状態(欠品と補充発注~特に月間おすすめ、当店のこだわり商品、広告商品など)がキチンと指先確認できるわかりやすい売場をつくっているか
⑥商品のフェイスがきちんと前を向いて陳列されているか、棚札の欠落やズレがないか、同時にPOPは正しい位置についているかどうか
⑦終了したセールのPOPや販促ツール~時期はずれのポスターやトップボード、商品に不似合いのボードがついていないか

以上のレベルを見てちゃんとできていない企業や店舗は5点満点の3点以下のレベルと判断します。店舗が新しいか古いかはそこでは関係ありません。


〇小売業の原理原則はお客様の視点から生み出されて体系化されたものと知ろう
小売業の企業で最も重要なことは、お客様に対して“より買いやすい状態でわかりやすい状態”の店舗環境を自社のオペレーションの中で提供できるかどうかということです。そういうことに対する企業の意気込みはお客様に伝わるものです。競合店を見るときは厳し目の見方、自店を見るときは甘目の見方になる方が多いようです。なぜなら自店を見るときにはできない理由、実行したくない気持ちから見る目がぶれるからでしょう。冷静にそして客観的に自店と競合店を見てみてください。コンサルタントなどのプロの専門家の具体的解説があればより理解も深まります。

〇具体的な店舗の見方

(1)店舗全体をマクロに
①全般的なトータルイメージはどうか。何を表現しようとしているのか
②活気はあるか。お客様の店内の表情はどうか(買い物のワクワク感はあるか)
③全商品のグレードの統一性や部門のバランスはとれているか
④店舗の付帯設備(トイレ、休憩室など)の状況はどうか
⑤パブリックスペース(共用部門、風除室、通路など)の状況はどうか

(2)売場、店内販促
①入口周りの状況はどうか(今日、店で何を伝えようとしているのか)
②動線は確保されているか。回遊性は良いか
③売り場レイアウト→売り場は充分使いこなされていそうか
④主力ゾーンと準主力ゾーンの使い分けはどうか
⑤照度、床、壁面、什器はどうなっているか
⑥ボリューム陳列とビジュアル陳列が上手に使い分けているか
⑦ビジュアル・マーチャン・ダイジング(VMD)を意識しているか
⑧ディスプレイと陳列商品の関連付けはできているか(基本は下に陳列)
⑨関連販売は計画されているか
⑩基本的作業(プライスカード、POPなど)のレベルはどうか
⑪陳列器具の使い方は充分工夫されているか

(3)商品
①店舗としての強い部門が明確に伝わるか→主力商品は何かわかるか
②強いアイテム、売りこみたいアイテムが何かわかるか
③主力と準主力はどうなっているか。陳列の工夫、季節感の演出状況はどうか
④商品力(アイテム数、在庫量、価格幅)はどうか
⑤価格構成はどうか→下限、上限、中心価格帯はどうかジャストプライスはあるか
⑥地域密着商品はあるか→由緒、由縁、地縁性がどのように表現されているか

(4)接客・サービス
①基本作業(あいさつや整理)ができているか
②どんなサービスを実施しているか。新しいサービスに積極的に挑戦しているか
③接客状態はどうか(接客態度、商品知識を基本としたかりやすい商品説明ができているか)
④販売員のイメージは明るいか。動きがキビキビしているか

  • 作成:2004-10-04 (月) - 岡 聡コンサルタントブログ
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