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修羅場の視点(1984年)解説

修羅場の視点―船井幸雄の発想法(1984年)

修羅場の視点―船井幸雄の発想法(1984年)

この当時は船井幸雄先生は51歳である。本書「修羅場の視点」は「月間コスモス」日本マーケティングセンター(現船井総合研究所)が経営者向けに発行していた経営戦略誌(約5000部発行)の経営随筆「コスモス指標」、サンケイ新聞連載「船井幸雄の商い講座」(1983年10月から1984年3月まで毎週土曜日連載)を中心に加筆再考された書籍。


(カバーにある本書のすすめより)
修羅場では、強くきれいに生きたい。堂々と身を処したい。そのためには、動じない、前向きの哲学を持とうとすすめたい。これは決してあきらめるということではない。つい先日、亡くなられたが、私が尊敬していた陽明学の大家であった安岡正篤先生は、「忙中閑あり、苦中楽あり、死中活あり、意中人あり、腹中書あり」を生活哲学にしておられたという。実にすばらしいことと思う。ともかく五十をすぎて私が知ったことは、この世のできごとは、すべて必然であり、偶然はないということである。よい必然のために努力をしたいし、修羅場も生かしたい。これが修羅場の正しい視点のように私には思われるのである。

(目次)
第Ⅰ章 修羅場の視点 のりくるための修羅場がある(船井幸雄の競争哲学)
第Ⅱ章 経営者の視点 経営の成果は経営者の心できまる(船井幸雄の「経営随筆」)
第Ⅲ章 勝利の視点 経営の原点、商いのありかた(船井幸雄の「商い講座」)

経営コンサルタントとしての船井行雄先生が円熟してきた51歳時点の本書は、包み込みの発想、成功のセオリーに続く3冊目の一般書として世にだした本で、船井総合研究所の月刊誌を編集した第Ⅱ章の時系列にならんだ記事のなかに船井幸雄先生の心情、どういう考え方によってそういう発想にいたったかという説明が多くあり、読みやすくかつ納得する部分の多い書籍である。とくに本書中にあるあかのれんの故伊藤英明社長の葬儀で懇意にしていた流通業経営者との別れの記事などは激動期にあった流通業の中での仕事振り、経営者とのつきあいもわかり胸を打つ。
本書でもまえがきをビジネス社の番場征社長が書いており、その中で本書はいわば「船井幸雄の発想学」というべきものと述べている。同時期に出版された「流通業界 明日はこうなる  (ビジネス社)」「ビジネスマン 成功の透視図 (PHP研究所)」「.新マーケティング経営 (ビジネス社)」で述べられている理論の裏づけが取れるという部分で非常に貴重な存在である。また当時、船井幸雄先生が“超一流の人気流通コンサルタント”であったこと、そういう存在であるものの、徐々に「経営は人間がするもの」という観点で人間研究を強めてきている点が興味深い。

また一番主義に関してもそれを目的とするのではなく他社に飲み込まれないためにそれを目指すこと、競争をする時もいかに相手を傷つけないかの研究を始めているというような既述もある。コンサルント船井幸雄からより哲学的な人間 船井幸雄に変貌してきていると理解できる。

どんな商売であれ、相手に喜んでもらい業績を向上させなければならない。客が腹をたて、なおかつ業績の向上することは、まず決して無いだろう。→業績とは相手の業績であり、こちらの業績である。だから長所伸展なのだ。という凄いお客様思考を持つとても人間くさい船井幸雄先生の超然とした姿勢にはあこがれを禁じえない。修羅場というドキッとする言葉とは裏腹に暖かい気分にさせてくれる書籍である。

  • 作成:2009-08-27 (木) - 岡 聡コンサルタントブログ
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