話題の美少女図鑑が私が住んでいる神戸でも10月から発行されることになりました。各地版が発行されてブームにさえなっている美少女図鑑ですが面白いビジネスモデルであると思います。
(美少女図鑑のHPhttp://www.bishoujo-zukan.jp/)
要はヘアサロンやフォトスタジオがコラボした形が中心となり地域在住の普通の女の子をスタイリング、メイクアップして観光案内、店舗案内などを行いながら地域を元気にする、そしてキレイな女の子をどんどん増やしていこうという考えのフリーペーパーなのですが、今やAKB48などが全盛の萌え全盛の時代です。各地版が1~2万部配布という”希少性?”からネットオークションでは高値で売買されるなど非常に多くの話題を提供しています。
この美少女図鑑をマーケティング的に見てみるととても面白いことに気がつきます。美少女図鑑という媒体を中心に広告展開がなされていき、ヘアサロンやフォトスタジオには婚礼や成人式、フォトブックなどの仕事が集まるということなっています。ホットペッパーを中心としたクーポン型のフリーペーパーが成熟化を見せる過程の中で、総合的マーケティングのフリーペーパーがターゲットをより絞込み、より専門店的展開を行う中で単なる紙媒体からメディアとしての発信力、ブランド力を持ちつつあるということなのです。
一般のファッション雑誌の中でも読者モデルという存在がクローズアップされるようになって久しいのですが、普通の女子高生、専門学校生たちがプロの手によって驚くほど美しく変身することの面白さ、プロの技の奥の深さ、私もなりたい、私にもチャンスがあるかもと思わせ、その話題がブログやSNSのコミュニティを活性化させる口コミ力の凄さなどが感じられるということが一つ。
もう一つはフリーペーパーをよりお客様目線のニーズやウォンツで切っている斬新さがあげられます。これまでのフリーペーパーにも特集記事的なものがあったり、子育てに焦点をあてたママの情報雑誌的なものはたくさんありました。徐々にテーマを特化したものになってきてはいましたが、広告などは地域の広告主から無秩序に出稿してもらい記事の下の広告は紙面を盛り上げるものではなく、どちらかというと違和感がありフリーペーパーらしくもあるが、やっぱりタダだからという感じでした。
ところが美少女図鑑は読者の読みたいもの、見たいものの立場に100%たったある”基準”、”編集担当の価値観と企画方針”がとても明確でです。あくまでもその枠内で記事と写真が組み立てられています。つまりマズローの欲求五段階説の5段階目の自己実現型のフリーペーパーでなのです。今まで流行のフリーペーパーは4段階目の自我の欲求(私らしさ探しの段階)であり、旧来の広告中心の寄せ集め情報誌型のものは3段階目の社会性の欲求段階タイプのものでした。共同広告型の広告誌は2段階目の安全の欲求タイプ。当然、単発型の自社の広告は1段階目の生存の欲求タイプです。5段階目のレベルの共通項は店舗でも広告でも”そこにアートがあるか”だと私は思っていますが美少女図鑑には確かにそれがあります。
このように見てみると、他の広告媒体もターゲットを絞った専門店型になっていくことが予想されますし、媒体の王様であるテレビや雑誌もそうしないと生きていけない時代がくるのかもしれないということに気がつきます。大衆がこぞって全員読むような漫画雑誌がすたれ行く中で同人誌的雑誌が一部人気である複雑な時代。時代を見据える目を研ぎ澄まさないと置いてけぼりになるはずです。
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- 美少女図鑑のマーケティング from 経営コンサルタント 岡 聡