先日、イトーヨーカ堂が不採算店舗の閉鎖などの発表と共にネットスーパー事業で1000億円を目指すことを発表しました。
長く商売を続けているとあるべき企業作り、あるべき店作りが見えなくなったり、振り返ることを忘れてしまったりすることがあります。イトーヨーカ堂は2007年からネット事業を本格的に展開し始めました。ご存知のように生鮮品を含んだネット事業は店舗を起点して配達するという作業が発生するわけです。食品スーパーを本業とする中小企業は食品、特に生鮮食品に集中しています。それだけに、ネットスーパー事業は工夫しないとリスクがある商品が中心になりながら、売上獲得が難しいという悪循環に陥ります。だから展開はとても難しく非食品をどこまで取り込むか、逆にシェア制圧にどこまで情熱を傾けるかという意思決定が重要になるわけです。
そういう迷いの多い環境の中で総合スーパーのイトーヨーカ堂はインフルエンザ大流行の引きこもり消費時期の春先の好調を背景に、大手ならではの比較的売上作りと配達の環境が作りやすいという優位性を活かして顧客の囲い込みを行うという方針決定と宣言をしたと見て取るのが正しいと思います。イトーヨーカ堂は店舗事業の不振の中、中長期的には大きな成長が見込まれるネット事業で勝負しようと打って出たわけです。当然、イオングループが反撃を強めることは間違いなく、店舗事業だけでなくネット事業でも食品SMはすさまじい戦いが今後繰り広げられることが決定したわけです。
今日、横浜のみなとみらいのパシフィコ横浜で開催されたデリバリー産業展の有料セミナーの講師を担当させていただきネットスーパーでもちょうどこれらの話をしました。
(http://www.deliexpo.jp/seminar/#seminar1013)
食品SM企業は店頭のセルフ販売で粗利25%の業態なので何も考えずに中途半端に参入すると物流コストと販促コストを吸収できません。ところが片や、街の小さなケーキ屋さんや食料品店がネット通販で数億円の売上を獲得し利益を計上しているような時代でもあるわけですから、柔軟な視点でネット事業に取り組む必要があると思うのです。
新規事業というものは多くの場合、やり方が確立していない中で試行錯誤が続きます。自分たちが創意工夫して仕組み作りに取り組まなければほとんど何もすすみません。私は大手のビッグストアの展開するネットスーパー事業と地域スーパー、中小スーパーの展開するネット事業はまったく別の展開になっていくのが正しいと考えいます。
よく考えてみればわかることですが、一般の通販に関しても、いまさら楽天市場やアマゾンの後追いをしてもなかなか勝ち目がありません。しかし切り口を変えれば特長のあるビジネスはいくらでも作ることができます。
最も有望なのは地域に根ざしたSM企業こそ、「地域ポータルに成長するようなネットコミュニティづくり」を目指し、地域の特産品、品質のよい食品に光をあてたり、生産者の顔を打ち出したりというような取り組みだと思っています。「ネットスーパーもやりません。ネット通販・お取り寄せもやりません。ITの活用はまったくもって遅れています・・・」。こういう状況の企業でこれからはよいわけはありません。
ネットに関しても「われわれは関係ないよ」と言えない時代が来ています。ショッピングだけでなく、仕入や顧客の開拓にもいろいろな活用法が生まれています。興味がある方はお問い合わせください。
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