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不況期はプロの時代

リーマンショック後の不景気も現在は09年初めの先の見えない底なし状態から、現在のところは一息ついている状況のように見えます。ところが流通業をメインにコンサルティングする立場からすると決して楽観できる状況ではないというのが実感です。その原因は今回の世界的な不況の発信地であるアメリカの経済の状況が全然良くないからです。9月の失業率は数ヶ月持ち直していた状況から悪化し、9.8%と26年ぶりの高水準になっています。公式的には「景気後退局面を脱したといえるが、雇用状況の回復には時間がかかるだろう」と表現されていますが、言葉どおりに受け止めることは相当無理があると思います。

80年代の不況をアメリカはIT技術、金融技術でのりきり、強いアメリカを演出しながら世界中から資金を呼び込み至上最高の好景気を最近まで演出してきました。ところがその繁栄下においても一労働者の生活は改善されず、貧富の格差は拡大しました。事実、70年代以降アメリカにおいては経済成長の成果は収入の多い層にのみ配分され、アメリカ国民の経済状況は二極分化し、中間層が失われ、貧困層が拡大しました。一般企業における不況の乗りきり方でまっさきに検討されるのが人件費カットであり、好況となっても賃金はほとんど上昇しない状況がアメリカだけではなく先進国全般の課題となっているのも悩みの種です。日本は民主党政権になって決まってアメリカの後追い状態を続けてきた状況はすこしは変わるかもしれませんが、企業はおいそれとは人員増に取り組まないでしょう。

世界中でボーナス支給が大幅減となることが明白なわけですから、12月は一段と厳しくなり空前の前年ダウンがやってくることは明白です。その前兆は夏のボーナス支給後の8月後半の商戦の厳しかったことからも容易に予想できます。一般的に冬のボーナス支給額の方が大きいわけですから、日本でも本当に住宅のローンが支払いきれず自宅を手放さざるを得ない世帯も急増するでしょう。流通業は相当厳しいことを覚悟しなければなりません。

こういう厳しい時代は時代では素人っぽい店舗や甘ちゃん経営の企業は淘汰されていくことになります。同様に社員も、よりアマチュア的社員が淘汰されプロらしい能力を持つ社員のみが生き残っていくはずです。ここで問題となるのが、自分自身がどういうプロ的な能力を持っているかです。そのプロ的能力は確固たるものとして説明できるものでしょうか。そしてできれば第三者にあのひとこそ本当のプロと評価したり、推薦したりしてもらえるものになっているでしょうか?

プロとアマの本当の違いは、コンディションが最悪の時においても技術や経験でそこそこの成績をたたき出すことができるのがプロであり、コンスタントな成績を残せるところでしょう。言葉を変えれば毎日の仕事品質のばらつきが少ないのが本当のプロなのです。天候が悪いから、景気が悪いから、運が悪いから仕方が無いのだというのはアマ的な発想です。

この文章を読んでいる人はプロの経営者が多いと思います。ぜひ今こそプロの技が光る商品提供、サービス提供、そして経営を志向して欲しいものです。景気が悪いからということでぐらついてしまい理念を放り出すような経営を志向してはいけません。特に価格志向が叫ばれる時代だからこそ注意が必要なわけですが、価格志向を武器にできるプロは本当はそう多くは無いはずです。そういう企業は好況期もそういう動きをしていたはずだからです。中小企業はまず経営の軸足をしっかりさせ、自社のポジションをしっかり守り抜くことが重要です。

もともと大資本有利の価格競争に飛び込むことは得策ではありません。中小だからこそプロの技がきらりと光る経営を志向することが最も重要なことなのではないかとそう思う昨今です。今回は長文になりましたが、ついついそういう話が多くなる「昨今」なのです。

  • 作成:2009-11-03 (火) - 岡 聡コンサルタントブログ
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