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攻める和雑貨店研修会での店長の涙

先日、お付き合い先の和雑貨店で研修会を実施しました。2時間にわたる研修会の講演の中で私はこれまでの経験から和雑貨メーカーに対して多数お願い話をしました。何のお願いをしたかというと、和雑貨メーカーの取り扱い商品は、和装小物、伝統工芸品や地方物産、和菓子などが多いのですが、多くのメーカーは棚割り提案、売り場提案を積極的に行う"欲"があまりないので、これからは積極的に「売れる売り場作り」「おすすめの自主MDの切り口」を提案して欲しいとお話ししました。

この10年、日本国内で多数開発された大型ショッピングセンターの中には、多くの雑貨店が進出しました。その理由はアパレルのチェーン店の出店顔ぶれが隣接するSC間で同質化傾向をみせており、SC自体に個性を出すために雑貨店が重宝だったこと、あわせて家庭のタンスの中に衣料品が満杯になり、衣料品支出も低下傾向になるなか、売り上げを確保するためには雑貨比率を上げざるをえない状況があったからなのです。昨今、アパレル店やインテリア店、家具店が多く雑貨屋業態に参入をはたしたのですが、その多くがフレンチ風の雑貨屋さんか、エコ志向のナチュラルテイストの雑貨屋さんでした。このゾーンは過当競争気味の状態となりました。

対して、和雑貨店は展開店舗がまだまだ少なく、メーカーの開拓から、売り場展開まで、パターンも確立しておらず、店舗ごとに個性を出しつつありますが、全国展開まで成長した企業はまだまだ少なく、需要に対していまだ供給が少ない状態となっています。

勉強会を実施した企業は全国展開を目指しており、来年度から積極的な展開を志向しており、今回の催しの実施となったわけです。MDや店作りはまだまだこれから充実していかなければならない課題が残っているようです。対して、そういう状態ですから、どちらかというと接客力強化で売り上げを作っているので、いきおい店長の力量に左右される部分も多くなります。

勉強会が終わって、懇親会となったのですが、懇親会の中で店長の自己紹介がありました。順番に店長がお店と自分自身の自己紹介をしていったのですが、ある店長が順番が回ってくるまでちょっと硬い表情をしており、心配していました。その店は基幹店なのですが、最近は前年売り上げが厳しい状態だったのです。順番が回ったとき、その店長は立ち上がり最近の予算未達成をわび、今の心情を語りだし、涙をボロボロと流し出しました。

私だけでなく参加者全員の胸が熱くなったと思います。私は出身のアパレル業界でも最近は売上不振で泣く店長をしばらく見ていません。

泣くことが良いとかどうとかではなく、泣きだすぐらいの責任感で仕事に取り組む店長の姿と素直な自己開示に全員が感動したのがわかりました。全員でなんとかこのお店を応援したいと思わせる力のある本音の話でした。

もともと実績の大きなお店なので店長の迷いも大きかったのだと思いますが、真剣な言葉は全員に大きなインパクトをもって伝わりました。気合だけでは売上げを作ることができない時代ですが、心は重要です。今回の勉強会では一人の店長の涙のおかげで一体感は確実に向上しました。そのうえ他の店長の気合や本部の担当者の気持ちやモチベーションもかなりハイになりました。

読者の皆さんも一度、周囲を見回してください。泣き出すぐらい気持ちをこめて働く従業員さんがいるかどうかをです。女性で販売に取り組む方は大きな責任感をもっている方も多いわけですが、本部がそういう気持ちに応え切れていないケースも多くあります。そういう事も頭をかけめぐる身が引き締まる勉強会の経験でした。 

久々に戦う小売の現場の姿が忘れていた感動を呼び起こしました。

  • 作成:2009-12-01 (火) - 岡 聡コンサルタントブログ
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