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生活防衛で節約志向に走るアメリカ!

今、ニューヨークに来ています。リーマンショック後の昨年来た時にも不動産の売却などが始まり、不景気に突入したとはいえ、日本の不景気の暗いムードとはまた違った印象を得ましたが、本年も景気のムードとはまた違った印象を強く受けました。

米国経済の状況をあらわす言葉としてクリスマス商戦、それとクリスマス商戦後の状況がよく語られます。ちょうど到着が25日とクリスマス到着だったので、翌日からのクリスマス後のバーゲンの状況がはっきりとわかりました。

多くのブランドがクリスマス後にクリアランスセールに突入するわけですが、マンハッタンの街中のブティックも、ウッドベリーコモンズのアウトレットも節約志向に走る米国人で半端ではないぐらいの大混雑でした。アバクロなどは昨年同様、店前に長蛇の列でしたが、SOHOのユニクロなども、レジ前が長蛇の列です。日本の感覚で言うとドル安を価格に反映させ終わっているためそう安くもなっていないと思いますがお客は何枚もの商品を抱えています。数枚程度購入というのではなく、10枚、20枚と購入する人も多く、一年中の衣料品をセールで調達しようという姿勢が鮮明なのには驚かされます。ニューヨークから一時間程度のアウトレットであるウッドベリーコモンズには多くの中国人観光客などに混じって現地の米国人も多数押しかけており、大きなショッピングバック満杯で何個も買い物に来ています。

一人で数百ドルから数千ドル購入する姿を見て感じることは、このようなセールに来ている消費者はかなり中流から上流に位置する人であるということ。彼らは数年前まではこのような消費態度をとっていなかったのではと感じます。このような状況でホテルで見たウォルストリートジャーナルの記事ではクリスマス後のセールがかなり伸張していて前年比数パーセントの伸びとなっているというような速報が出ていました。町中安い値段で買い物をした人でいっぱいでニコニコ顔です。

しかし値段の安いこと、安いこと。ファストファッションで有名なH&MやZARA、GAPも日本の感覚でいうと最終価格が1500円から2000円程度でかなりトレンドを押さえた商品を提供しています。アウトレットは定番に近い商品も通常の3割引の価格のさらに4割~5割引。つまり最終7割引ぐらいで提供しています。ほぼ製造原価程度での処分です。このまま日本にハンドキャリーで持ち込めば、オークションで安売りしてもかなり儲かるような価格での販売です。

年末のアメ横のような人ごみの中で感じることは、この節約志向はアメリカにもデフレを生むのではないかということです。日本と同様、商品は余りあるため低価格で販売する。その低価格で提供する企業の製造と販売の人件費コストは徹底的に削減され、人員カットと収入減を生むということは明らか。もともと所得の二極化が進むアメリカでも中流世帯の下流への地すべりが起きているわけです。日本でも年収400万円未満の世帯が44%程度ととなってきていますがさらに今年は年末商戦で衣料品需要と食品需要ががシュリンクしており、一層のが取得減の影響と推察されます。日本のセールはかなり前倒しとなって12月上旬から本年はスタートしていますが、アメリカと違って数量さえ伸びません。年末にアメリカと日本の状況を同時に見ると2010年度の流通業の厳しさが予想されます。世界経済は今、本当にデフレの波と戦わざるを得ないようです。来年は体質改善、業態リモデル、新分野参入のお仕事が多くなると思われます。年末年始に志を強くする経営者も多いはず。何か思うところがあれば、お気軽にご相談ください。 

それでは皆様、よいお年を! 

  • 作成:2009-12-29 (火) - 岡 聡コンサルタントブログ
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