マクドナルドのキャンペーンに学ぶ

マクドナルドが今年になってビッグ・アメリカというキャンペーンをやっています。消費不況の中、苦戦が伝えら得られる外食産業ですが、マクドナルドは不況をどうしようもない環境と捉えていないことがわかります。このキャンペーンはテキサス、ニューヨーク、ハワイアン、カリフォルニアと４種類の期間限定アイテムが展開されます。最近のマクドナルドのキャンペーンは独自性が高く、面白いものが多いと思いませんか？

マクドナルドは日本のアップル社長だった原田泳幸氏を社長に迎えてから戦略が際立っていて面白い展開を次々に産み出しているわけですが、メガマックからクォーターパウンダーそして今回のビッグ・アメリカのキャンペーンとわかりやくいうと逆張りの戦略が波にのっています。

世の中は２８０円弁当や７００円を切る価格のジーンズが出たとか、リーマンショック以降は節約志向に拍車がかかっていますが、企業として存続するには低価格を出すなら量を爆発させて利益高をかせがなければなりません。量が望めないなら粗利ミックスで低粗利の商品だけにながされないＭＤを組まなければなりません。ところがマクドナルドの面白いのは１００円マックの投入で規模のメリットを武器にした圧倒的低価格攻撃で他社を圧倒したかと思うと、低価格＋付加価値を武器にしたプレミアム・ロースト・コーヒーを１２０円（当初１００円）で提供しドトールやスターバックスにまで激震を与えたかと思うと、健康志向やローカロリーブームなどなんのその高カロリーでボリューム満点のメガマックでコアなマクドナルドファンを熱くしたり、社名を隠して品質勝負でプレミアム・ハンバーガーの領域開拓を目指してクォーター・パウンダーを投入したりと変幻自在です。今回のビッグ・アメリカンも佐世保バーガーなどから始まったご当地ハンバーガーブームをもじったようなシリーズです。

驚くことに牛丼業界が２００円後半の戦いでしのぎを削っているのに、今展開しているニューヨークのセットは７４０円で単品は４２０円という高価格です。不景気と言うのにこんなに高価格で大丈夫と心配してしまうのですが、店頭で見ているとかなり動いている模様です。それも低所得が叫ばれる若い世代がかなり手を伸ばしているのです。同じメニューのボードには業界最低価格である１００円マックが掲載されているのに、それを横目で４２０円（実に１００円のバーガーの４倍以上の価格。よく考えてみるとすごい価格差。しかも大半のお客様はセットの７４０円を選択）ということになっているのです。

これは船井総研がいう一番店は商圏内で下限から上限まで扱い、競合を包みこめばよいという原理原則とまったく符合しており、これをやられると競合はとっても困る状態になっていくはずなのです。集客力は高いは、きっちり利益はとれるは、低価格志向の人から品質や味志向のひとまで幅広い客層の満足感は高まるわで普通の企業は手も足も出ない状態になるはずです。

ここで問題なのは競合はハンバーガーショップだけではなく全ての外食産業、そして持ち帰りお弁当業界、食品スーパーの惣菜コーナーになるということでしょう。

日本の外食産業のガリバーであるマクドナルドは規模が大きくなって逆に身動きが付かなくなっていく多くの企業とは違う一人がち状態に入ったと言うことがよくわかります。さすがは原田泳幸さんです。そしてこれらを見るとＳＰＡでいうユニクロなどの将来戦略も見えてくるわけです。ユニクロは現在、上質なものを手に買いやすい価格でユニクロというブランドを展開。中品質のものを最低価格のｇｕで展開しています。そして次には高価格のブランド感があるものを、一般の人も手が出やすい価格でで展開していく。そうすれば完璧だと言うことです。すでにユニクロ×ジル・サンダー「+J」という取り組みを始めていますが、これはＨ＆Ｍと川久保玲（コム・デ・ギャルソン）のコラボ企画と同様のレベルです。私の予想はユニクロがスポンサーになって世界的ブランドの発売権を握り店舗展開していく日が遠くないというものです（現在、セオリーがグループ内にいますが、ユニクロ傘下とは打ち出していません。ここでいうのはユニクロが展開していることを打ち出しながらやっていくということです）。

マーケティングの原理・原則を学べば、未来に対して仮説がたつようになります。仮説がたつようになれば対処法が見えてきます。こういう視点はコンサルタントとしては身につけないといけない必須の能力ですが、経営者も同じです。大変な時代になっても企業は何が何でも生き残りを図らねばなりません。そのためには経営者は原理・原則を勉強しなければ話にならない時代になったのだと思います。

このあたりのことは今月２月２５日に経営戦略セミナーでも話をさせていただきます。時間に余裕がある方は品川プリンスホテルにお越しください。

http://www.funaisoken.co.jp/ad/seminar/310053/

岡の講座の内容はコチラ。２日目藤巻さんの後です。
http://www.funaisoken.co.jp/ad/seminar/310053/dm.pdf