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変化するマニュアル

先日来、マニュアルの話がお客様との間でたくさん出る。今回は時代対応したマニュアルとはどういうものかを考えてみよう。

今現在、多店舗展開をしている企業、社員を多数抱える企業にはほとんどマニュアルが存在する。このマニュアルは事故やお客様とのトラブルを防ぎ、効率化を実現するために普及が進んだものだ。マニュアルによってファミリーレストランもコンビニエンスストアもスーパーマーケットも多店舗化を実現したといってよいだろう。ところが、よく見てみるとマニュアルによって実現された多店舗展開企業が最近とても元気が無い。総合型のファミリーレストランの世界では先駆けのすかいらーくが会社名がついた業態を止めると発表している。知らない間に昔型マニュアルの時代は終わったのだと思う。つまりマニュアルはふぞろいが多い店舗の中で一定水準の業務レベルを達成し、効率的に業務推進するためには必要なものであったかもしれないが、そこで記述されているものは「最高水準」ではなく、その企業で働く社員(経験の少ないパート、アルバイトも含めた社員)が実現する「最低基準」であったわけだ。ところが商売が成熟化しライバルも含めて業界水準が向上すると「最低基準」でしか仕事をこなせない会社や店舗はとても魅力に乏しいように目に映る。杓子定規で融通が利かず、もっと厳しく見れば「この程度のレベルでしか仕事を指示していないのか、ここは!」というような印象さえ与えてしまうこととなった。
まさに時代は標準の壁にぶつかってしまったのである。なぜなら時流適応して商売は成長をさせなければならないが継続的に毎年、毎年マニュアルを更新しているならまだしも、多くの企業では抜本的なマニュアル更新はなされていないことが多いからだ。なぜなら、会社が存亡の危機レベルの転換点にたたないと通常、マニュアルは神格化されているため、抜本的な改定など行われないからだ。これは航空機の事故や自動車のリコール問題などでの対応を見ればよくわかる。重大事故でもない限り、延々と"小さな問題を抱えながらマニュアルは守り続けられていく"ものなのだ。

ところが時代は大きく変わった。標準型の企業や店舗は特徴のある攻め口の企業に駆逐され、青息吐息である。下手をすると駆逐する側の成長企業には「マニュアルがない」場合すらある。これはいったいどういうことなのだろうか。マニュアルがない会社の方がお客様の支持が高い。つまりお客様の支持が得られなくなったマニュアルを使い続けてまけていっているわけなのである。マニュアルは成長させ続けなければならないものだ。なぜならお客様の進化のスピードはとても速いからだ。お客様進化のスピードについていけないマニュアルならば神棚の上に奉っておけばよいだろう。本気で商売をする。お客様の成長スピードについていく気があるならばマニュアルの見直しをし続ける必要があるはずだ。

特に、標準型の最低サービスをMAXレベルにかんじさせてしまうようなマニュアルしかない企業はぜひ抜本的見直しをしていただきたいと思う。「マニュアルは最低レベルの礼儀」。そう教える企業がもっと増えて欲しいと思う。最後に今の時代に対応したマニュアルとは何かを説明しよう。紙に記述したマニュアルは2次元静止画情報だ。
いくら絵と写真を使っても二次元静止画情報には限界がある。最低限、「動画」を準備することが大切だ。動画だと情報量は飛躍的に向上する。そして業務手順を説明する動画とともに経営者や幹部がなぜその業務が必要かを語る動画の付加が重要だ。さらに効果を与えるためにはそのマニュアルを使用した研修システムの整備まで考えていくことが重要なのだ。このような視点で設計された教育システムを持った企業はとても強い。動画はデジタルビデオで簡単に作成できる時代になったが、この設計され、計画された教育システムを構築するには船井総研の専門メンバーでも最低3ヶ月~6ヶ月が必要となる。

効率化を目指すマニュアルよりも、社員を育て、お客様に喜んでいただく力のある「効果の高いマニュアルづくり」が今求められていると思う。興味がある方は一度ご相談ください。

  • 作成:2010-02-15 (月) - 岡 聡コンサルタントブログ
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