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幸せ感が差別化の切り札になる

ギリシャに端を発した金融危機はハンガリーや東欧諸国にまで飛び火の様相を見せており、景気の底打ち感の確証はもてません。そのような中で日本は民主党政権への政権交代が実現したものの、鳩山内閣はマニフェストにこだわるあまり、逆に国民の期待と気持ちに反し解散となりました。飲食業や物販では世界的資源高という流れがあるはずなのに国内では物が売れないためにデフレ化が進行しています。

船井流では数十年お伝えしてきていますように、中小企業が価格競争の勝者になることはありえないと考えています。その可能性があるとするならば、低賃金、低家賃(自分の自宅物件で支払いが生じない)を背景としたガムシャラ労働作戦しかありえないのです。ですから構造変化への対応として低所得者向きのビジネスや商品開発に対応することはとても大切なことなのですが、単に価格を落としたり、単に品質を下げて低価格対応する発想は弱者の成功法としては正しいと考えていません。低価格対応だけに目を奪われると中小企業らしいフットワークの良さを活かした企業活動や少ない原材料を活かした商品開発などがやりにくくなったり、そもそも論としてのビジネス開発、商品開発が手薄になったりします。本来は中小企業こそ世界に一社しかやっていなかったり、大手は絶対にできないような分野のビジネスに取り組まなければならないはずです。

特に私が最近、クライアント企業の経営者にお話している切り口は、中小企業が売上の伸びだとか、拡大を単に前年実績ベースの伸び率のみで語るのは徐々にやめていった方が良いという話です。人口縮小時代の中小企業のビジネスの切り口は量的拡大のみではないと考えるからです。もちろん企業の成長には量的拡大も必要ですが、それだけを実現しても社員は幸せにはなりませんし、消費者からも尊敬される会社にはならないのは間違いない事実だからです。

ならばどうするかということです。それは低価格だろうが、高価格だろうが、価格に関係なく、買い手である消費者と売り手である従業員がともに幸せ感につつまれるビジネスや商品の提案に取り組むことが究極的な中小企業の差別化につながるはずだと信じているからです。

商品の性能面、機能面の差別化ではなく、ビジネスやコンセプト、取り組み自体が提供する夢やワクワク感が差別化の切り口としてとても有望な時代になっているのです。

iPadなどの商品はその機械としての性能ではなく、その機械と仮想空間上におくサーバーで利用者にこれまでない便利さや楽しさを提供しようとするアップル=スティーブ・ジョブスの提案にまさに、「幸せな時代がやってきたものだ」という感覚を持つ人が多いことが本当の凄みであり、それは中国製のスマートフォンや端末の方が安いというような話と次元が異なるわけです。

ハード的にはソニーも、日立も、パナソニックもアップルが実現したことぐらいはできるはずです。ところが夢を売り、幸せ感を提供することは、現状ではとてもできないことだと感じます。

これからの社会には色々な限界がやってきます。そのような閉塞感のただよう時代に、幸せ感を提供できる会社になるということに企業は集中していかねばならないと思っています。

もちろん、そのスタートは従業員にその企業らしい、幸せ感を提供するということであることは言うまでもないことだと思います。

【消費財メーカー卸向け 経営革新セミナー】

2010年7月29日(木)10:30 ~16:00(受付開始10:00~)
会場:船井総合研究所 東京本社

http://www.funaisoken.co.jp/ad/seminar/510274/

  • 作成:2010-06-09 (水) - 岡 聡コンサルタントブログ
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