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肉食系中国、草食系日本

肉食系中国、草食系日本

上海万博を見に中国に行ってきました。今回の万博のテーマは「より良い都市、より良い生活」ということで成長と発展が顕著な中国が国家の維新をかけ、中国各地から来訪する国民に対して更なる国家の未来がどういうものなのかということをPRする絶好に機会となっていました。万博にあわせて地下鉄も上海市内を網の目を縫うように整備しており、以前の交通渋滞でどこにいくのも大変という風景は若干緩和されていました。海外からの来訪者には空港から最高時速431kmのリニアモーターカーが出迎え、会場の浦東地区の周辺は見上げるばかりの高層ビルが数多く建設されています。実際に、正大広場から金茂タワーのあたりでは歩きながら空を見上げる人がとても多く日本の成長期に新宿のサンシャインなどが観光地となっていたのと同様に高層ビルからのパノラマビューが観光の目玉になっています。

ビルだけではなく高級ブランドや有名ブランドのショップも、次々に開店し、ついにはアップルストアまで浦東地区に開店しています。ブログに写真を貼り付けているでご覧ください。

http://oka.secret.jp/2010/07/post_116.html

中国は最近、年平均で8%の所得の伸びを実現しているそうですが、それでもGDPの伸びと比較して所得の伸びが低いとして、2010年から5ヵ年で所得倍増を実現すると発表しています。これは驚きの計画です。

中国の智聯招聘によると全国の中~大型企業対象の調査では、給与は前年比10.1%増となっており、なお賃金アップの傾向が強いことを報じています。その数値が下記になります。

2010年度の平均年収(税引き・見通し)
金融・保険  9万7000元 +14.1%
不動産建築  8万6700元 + 9.8%
IT・電子・インターネット 8万6300元 +13.6%
自動車・機械  7万3400元 + 9.5%
メディア・広告  7万3000元 +10.6%
エネルギー・化工  7万1000元 + 9.2%
医薬・バイオ  6万8400元 +10.3%
家電・消費品  6万4500元 + 9.4%
加工・製造  6万2600元 + 8.7%
ホテル・飲食・物流  5万7600元 + 8.7%

トップの金融・保険で今の為替相場で126万4000円ほどになります。しかも税引きです。もちろん沿岸部の都市に中から大の企業が集中しているわけですから、中国全体での話ではないものの興味深い数値です。

対して日本では国民生活基礎調査によりますと平成20年の平均の世帯年収は547.5万円(税込み)です。物価を比較した購買力平価で考えれば金融・保険の年収は日本で言う平均的な所得層と同等の状態、もしくは追い抜こうという状態であるようです。特に日本の世帯年収は10年で100万程度の低下。つまり所得は年1.5%減しか経験したことがない状態に対して、中国の90後(チューリンホー)はしっかり世代と呼ばれ、物心ついた時から年10%程度の成長しか知りません。所得も2倍以上の伸びを経験している家庭で育っています。なおかつ、人口の大きさから学校に入るのも就職するのも大変な努力をして勝ち残ってきている人間が多くいるようです。

つまり既に日本の若者の”豊かさ感”は中国人にはるかに負けている状態だということなのです。

このように考えると今流行の言葉で言えば、中国全体が肉食的存在であり、日本全体が草食的存在であるといえない事も無いでしょう。

中国の若者は日本をはじめとする先進国の若者とと比較しても、とても未来に希望を持っており、なおかつ生活への向上心が強く、消費意欲が世界一旺盛なのに対し、日本の若者はデフレ社会の中で未来が見えないあきらめ感を持っています。

このような状態を打破してグローバルなジャングルで生き残るためには、企業も人も草食系だからという言葉を言い訳にしているだけではいけません。明るい未来を自分の力で創りあげるという気概をまつ持つことが重要です。

船井幸雄名誉顧問の昔の本を読むと、終戦時にアメリカ軍の軍人から「ナイン・トゥー・ファイブ・パーソンになってはいけない」と教えられたと書いてあります。ナイン・トゥー・ファイブ・パーソンというのは、成功をあきらめた人のことをいい、そうならないためには、仕事が趣味になることが大事だと教えられたと書いています。20年間低成長の日本人は予感として今、敗北感を感じています。しかしただ敗北感を感じていても何も開けません。失った自信は再び取り返せばよいのだと思います。そういうことがグルグルと頭を駆け巡り、もう一度元気に仕事をしようと考えながら帰ってきた短い上海旅行でした。

  • 作成:2010-07-13 (火) - 岡 聡コンサルタントブログ
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