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新規ビジネスは本当にリスクが大きいのか?

船井総研では、昨年以来、より積極的に新規ビジネス創造、新規ビジネス参入することを検討して欲しいと提案しています。と言いますのも不況期が次の好況期に成長する新業態のゆりかごであることは過去の例からも明らかだからです。われわれ船井総研自身も創業40周年を迎え、自らそれを実行するため、創業以来の会社ロゴ変更。大阪の本社ビルの移転。若手社員の積極採用というように新しいチャレンジを数多く行っています。これらは不況の今こそ前向きな準備を行い、好況期に一気に伸ばす準備を行いたいからです。

厳しい時代ですから、社内の無駄の徹底したリストラを実行することはとても大切なことです。しかしリストラだけでは未来の勝ち残る良い会社は作れません。リーマンショック後、もっとも大きく激しい変化に見舞われた自動車産業においても次の時代を制するためにEV(電気モーターの自動車)の研究や量産化はとても積極的です。私自身、自動車業界・自動車関連業界とこの数年接点を持たせていただいていますが、外で見ている以上に次の時代にどう覇権を握るかという視点での改革にはとても積極的なのが実態なのです。

日本人の世帯所得400万未満世帯も既に46.5%となりました。一億層中流狙いの既存ビジネスは完全に崩壊しています。最も比率が多いのが低所得者というのが現実なのです。中流と呼ばれる400万~800万円の世帯は実は32.2%しかもはや存在しないのです。これはピンチでもありチャンスでもあるのです。言い換えれば変化をキチンと見ている企業にはチャンス。変化に気づいていない企業にはピンチなのです。更に具体的にご説明すると低所得者対応を真正面から考える企業には大きなビジネスチャンスがやってきており考えられない企業には押さえ込むことができないピンチが押し寄せているわけなのです。間違えていけないのは低所得者対応のビジネスの方がリスクが少なく有望であり、これまでの中間層対応のビジネスの方が更なる縮小率が大きく今後ますますリスクが大きくなるという事実なのです。この点はあまり語られない真実なのです。

同様に少子高齢化もピンチでもありチャンスでもあります。実際に高齢化対応をすませた事業の中には成長事業が数多く存在するのですから。少子高齢化は誰にでもわかっている日本という国家の現実です。ところがこの大きな変化にさえ対応せず、「業績が悪い」と叫んでいる経営者は多いのです。また、少子高齢化とともに忘れてはいけないのが日本の家族の変化です。日本国内の世帯数は国立社会保障・人口問題研究所 2008年3月の推計よりますと一般世帯総数は2015年の5060万世帯まで増加し、その後減少に転じるとの事です。そして2030年の一般世帯総数は4880万世帯まで減少するのです。そして平均世帯人員も2005年の2.56人から、2030年には2.27人まで縮小するとみられています。そして家族類型別割合をみますと単独世帯が2005年の29.5%から2030年には37.4%と全ての類型の世帯の中で最も増えるのです。すでに全世帯の3分の1は単独世帯というのが日本の現実でありこの後sれはさらに加速するわけです。対して夫婦と子からなる世帯は2005年の29.9%が2030年に21.9%となるようです。親2人、子供2人というような高度経済成長時代の家族構成すら大きく変ってきているわけです。当然、メーカーや小売は容量サイズなどの見直しが必須になってきているのです。

このような大きな変化に対応した新規ビジネスはリスクが本当に高いのでしょうか?そうではないはずです。実はこれまでと同じままが一番リスクが高いわけです。もちろん新規投資や新規ビジネスに挑戦するコストは発生します。しかし投資も努力も控えてジリ貧の刈り取り型ビジネスに終始する方が、企業にとっては将来のリスクが高いと考えるのが一番正しいと思うのですが・・・。

  • 作成:2010-08-10 (火) - 岡 聡コンサルタントブログ
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