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関西流通戦争(1)

不況にプラスして震災・原発問題で環境変化が激しい昨今ですが、最近、関西の流通地図が大きく変化する大型店の出店が続いています。

最大の話題はJR三越伊勢丹です。JR三越伊勢丹はゴールデンウィークにオープンがあったこともあり、大賑わいのスタートダッシュをきりました。低迷が続く百貨店業界ですから、関西初お目見えの東京の人気ブランドを詰めこんだり、売場作りにも伊勢丹流の工夫を随所に散りばめたりしています。駅直結型の百貨店ということもあり、高齢化が進む百貨店のイメージを打ち破り女性を中心に、若々しいMDで勝負をしています。既存の大丸もJR三越伊勢丹出店前に増床をかけて迎え撃っていますが、巨大な食品売場を持つ阪神百貨店。現在、半稼動中とはいえ上質客を顧客にがっちりとつかんでいる阪急百貨店も存在し、徒歩5分圏内に4店舗の百貨店が存在するという日本一競争が激しいエリアが出現しました。

このJR三越伊勢丹の出店による大競争の勝者はどこ、敗者はどこだと注目が集まっているのですが、意外というか船井流のマーケティングの原理原則どおりというか、面白い傾向が出てきているようです。それはJR新快速で20分の神戸市の三宮・元町地区のそごう、大丸に大きな影響が出てきているということです。商業施設間では規模が大きくなればなるほど吸引力が増すのですが、梅田地区としての百貨店の大規模化が関西有数の商業地の一つである三宮にまで及び、同地区の顧客が流出しているということです。百貨店には1時間程度かけて買い物にいくことが苦ではありませんので、三宮だけでなく間違いなくそごう、大丸がある心斎橋、大阪ミナミ地区の近鉄、高島屋。西に向かっては三宮を通り越し神戸阪急、加古川のヤマトヤシキ(旧加古川そごう)。ひいては京都も新快速30分圏内ですから大丸、高島屋にまで影響が出ている模様です。JRが三都物語と称して三拠点観光を推進している関西ですがその中心に打ち込まれたJR三越伊勢丹は関西百貨店業界に大きな刺激を与えることになりました。

このように見ると四メガ百貨店の企業グループ全体での大競争と言えると思いますが特に影響があるのはJフロントリテイリングの大丸・松坂屋であると思われます。大きな投資を決断した梅田大丸の増床ですが投資の割りに業績全体への貢献は少ないと思われます。グループの中には高槻松坂屋や小型店の芦屋店ほかも含まれるわけですからファッションに強いJR三越伊勢丹の影響は予想以上に大きな
ものとなります。Jフロントリテイリングは旗艦店である名古屋の松坂屋もJR名古屋高島屋の影響で苦戦が続いており、今後生き残りをかけて現在進めている脱百貨店を加速していくことになると思われます。

  • 作成:2011-05-30 (月) - 岡 聡コンサルタントブログ
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