前回もコンサルティングのスタートの前段階としての経営相談のお話を書きましたが、今回はその打ち合わせの中で最近気づく傾向のお話です。
経営コンサルティングを頼もうかなと検討している経営者の方は、その姿勢から考えても積極的な経営者だと思います。しかしそのような経営者と話をしていても最近は「おやっ」と思うことが少なくありません。それは事業の現状に関して問題意識は持ってはいるもの、あまり日本全体の環境や業界の動向、これからの経済の流れ、生活者の意識変化を性格に見つめておられない人が多いということです。
本来の経営者の仕事は未来に向けての夢とビジョンを語り組織に刺激と活力を与えながら、現状の課題を乗り越え、新しい世界を切り開いていくために強いリーダーシップをとることだと思いますが、その経営者自身の発想がこじんまりとしているのではないかと思うシーンが多いのです。
「現状の発想のままの経営ではジリ貧になってしまう。だから何とかしたい。どうすればよいでしょう?」というような相談が多いのですが、このようなレベルの相談だとコンサルタントはとても力を要します。若手コンサルタントでは、対応するのもとても難しい話になってしまうはずです。ご相談に来ていただいている経営者の気持ちは痛いほどわかりますが、そのような言葉ではあまりにも情報が乏しく、的確な打ち手を捜していくのに時間がかかってしまうからです。当然コンサルタントは質問力を駆使して現状把握に努めますがなかなか厳しい部分があります。
その理由は先ほどのような説明レベルでは日本の企業の大半がその表現にマッチしてしまうような状態なわけだからです。トヨタのなぜなぜではないですが、もう一段、二段踏み込んだ表現まで落とし込んでほしいのです。コンサルタントや各種士業関係の”先生業”はクライアントの望むこと、夢の実現をお手伝いする仕事ですから「現状の課題や実態の説明」以上に「何がしたいのか」「何を望むのか」を説明してもらいたいわけです。そのような発想は経営者が戦略構築をしたり、政策立案をするときにも同様の流れで考えれば整理がつきやすいと思います。
現状の不満、課題以上に夢やビジョン、目標にフォーカスすれば道は開けるものです。そして現状どうあるべきかというよりも、未来にどうあるべきかという発想で物事をとらえ、そこから逆算して現時点において何をなすべきかを考えていくことが重要なのだと思います。未来からの逆算法は経営者の発想を豊かにし、視野を確実に広げると思います。
今、船井総研ではグレートカンパニーの研究をしています。多くのグレートカンパニーの経営者は未来からの逆算がとても上手な人たちが多いこと、過去に夢みた未来が今、現実になっているという事実が多く見受けられるのはとても興味深いことだと思います。
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- 未来からの逆算 from 経営コンサルタント 岡 聡