アップスケール化する東南アジア

前回に続けて夏休みタイプの話題をご提供します。

日本はリーマンショックを契機に高齢化時代の人口縮小消費スタイルへ転換しました。一億総中流が富裕層＋高齢者富裕層と堅実型若年世代を生み出したのです。

このため、何をするにしても真ん中の平均狙いが一番リスクが高く、当たらなくなってしまいました。それでも世界屈指の経済大国で成熟化時代なのだからと「上流」を目指す組といやいやお金をもっていない低所得世代狙いがこれからの消費の主流と「下流」を目指す組へと真っ二つ。どうしようかなと思案中の会社もさすがにカルビーやサントリー、キリンのような統合、世界戦略を目の当たりにするとそろそろと決めなければと考える時代になりました。

よく考えてみるとこの問題は先進国型の問題なわけで、目を海外に向けるとリーマンショックの影響は多分にあるけれども事情は大きく変わってきます。

流通業を主なフィールドとしてのコンサルタントの仕事をしていること、出身がもともとアパレル企業で、マーチャンダイザーの経験があることから普通の人よりもユニクロのことが気にかかります。これまでも上海の正大廣場店、淮海中路の店舗やアメリカ最大の店舗として話題になったニューヨーク・ソーホー店、お隣韓国の明洞店などは近くにいくと足が向きます。

その時、気になるのがマクドナルドのビッグマック購買力平価ではないがユニクロの商品価格帯。マクドナルドの場合は、その国でビッグマックを１個買うのに何時間労働しなければならないかという視点で物価水準チェックするわけですが、同様の視点でユニクロの価格水準とその国の所得水準を考えると色々なことが見えてきます。

今回はオープニングセール真っ最中であったシンガポールのＩＯＮ店を見ました。ゴールデンウィークにもシンガポールに行ったのですがその時にはまだ工事中だったショッピングセンターで、先月７月にオープンした店舗です。シンガポールの原宿？表参道？のオーチャードロードとスコットロードの交差点にできた超好立地のショッピングセンターにその店は入っていました。

ユニクロ人気のブラトップなどを日本同様に展開している店舗で、日本の下げ札の価格部分にシールを貼って訂正している状態でまだまだシンガポール向けの体制が出来ていないことが伺えました。店舗はショッピングセンターの角部分の２層利用で小さいながらもキッズ、婦人、紳士のフルライン展開となっています。

駅に直結したＳＣでもあるので駅から度派手な広告が打ち出され広告文も「日本で最も有名なカジュアルショップ」という表現がなされておりユニクロの本気度がうかがい知れます。店頭は夜８時半ごろの視察であったものの相当な混雑振りです。お客様は普通のシンガポーリアンの若い男女たちがうじゃうじゃ。その人気は香港のジョルダーノのようなコモディティが勝ったブランドとはちょっと違ってきているようです。

そして価格を見て驚いたのは現在の為替換算でも決して安くない価格です。一流ブランドばかりが入居するＳＣでまずは高いブランドイメージでシンガポール進出を果たしたようです。

日本でも人気のＧＡＰはもともとジーンズ店が開発したオリジナル商品の販売店がスタートですが日本では巧みな広告戦略でかなりのハイイメージ型で展開をしています。

近隣にはエスプリやＺＡＲＡが入居している激戦区であるので今後の変遷をチェックするのがシンガポール旅行のまたまた楽しみの一つになりました。

ユニクロのファインコットンのドレスシャツなどもほぼ日本と同等の価格。ポロシャツは２９．９シンガポールドルのが１９．９シンガポールドルとなっていたが為替が６５円程度と考えれば日本よりも価格は高いぐらいです。シンガポールの給与水準は日本より少し下程度ですがそれでもそこそこな価格だと思います。

将来、ユニクロが世界進出を続ければユニクロの商品を中心にした購買力平価ができるかもしれないというのは、あながちジョークで終わらないのかもしれません。

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