Home > 省く企業が伸び続ける

省く企業が伸び続ける

アメリカでiPadが発売され、大きな話題となっています。大型の液晶画面を持った革命的な端末です。発想としては先に発売されたスマートフォンであるiPhonが大型化したと言って好いわけですが、従来のタブレット型パソコンやネットブックを駆逐する可能性だけではなく、ゲーム機や電子書籍リーダーとして書籍・新聞の世界にまで大きな影響を与えることは間違いないだろう。また移動可能なフォトフレームとも言え、ソフトのダウンロード型で使うとなると、DVDプレーヤーとも競合する商品と言えよう。

第一弾として発売される機種にはGPS機能はついていないため、iPhonで起動するGPSを利用した活気的なアプリは動作しないものの2ヶ月以内に3Gタイプの発売が予定されておりそのイライラもすぐに解消されるようになるだろう。GPS機能が内蔵されていると近くにいる仲間とのコミュニケーションが容易になるほか、ソフト次第でカーナビゲーションシステムと同様な使い方が可能となる。大型画面を活かした更に画期的なアプリが開発されていくことは間違いない。

このiPhonは販売台数が2010年に700万台はいくのではないかと言われているが、私自身は業務用の活用需要がかなり大きいと見ており、さらにシリーズの販売は拡大するのではないかと考えている。なぜなら、営業マンのプレゼンツールとして、パワーポイントなどで作成した資料を顧客に見せるような基本的な使い方はもちろん、外食産業やチェーンストアのオーダーブック用の端末として利用したり、棚卸用の端末として利用したり、インストアプロモーション用のモニター端末として利用できるかもしれない。何がよいかというとアプリさえ開発すれば多様な業務を一つの機種で代行することができるということである。スクリーンキーボードがついているのでメールやネットの閲覧、簡単な文章の入力程度ならウルトラモバイルノートは必要なくなる。それも外付けキーボードを接続すれば、ほぼパソコンと同様になるので説明するまでもない事実であるのだが・・・。

専用機と違って世界中で普及すると共通インフラと化して更に多彩な使い方が考案されていくと言うことが何より強い。ツイッターとユーストリームを使えばテレビ以上の双方向性のある使い方も色々と可能であろう。iPadに対する期待から文章は高揚するが、総需要が伸びない時代に発売されるこのような製品は、これまでの製品を淘汰しながら圧倒的な人気でシェアを伸ばしていく。生産台数も高いうえ、ソフトの利用料などで利益を上げるビジネスモデルのため、戦略的に価格が抑えられており中途半端な生産台数の業務機よりもパフォーマンスが高い。そのため何種類もの専用機を購入しなくても済むというメリットがあり、余分な支出を省くことができる。パソコンが普及してからワープロ専用機が壊滅したのと同様、静かな「省く」提案が魅力的な需要創造の背後で静かに提案され、合理的な商品としても認知されていく。一つ一つの支出への目ではなく、トータルな部分で「売り手と買い手、そして作り手に三方よし」を提案していき売上を伸ばす。電子書籍にしても作品の作り手である著者には高額の著作権料の支払いを可能としながら、買い手には価格の引き下げを行い、自らも在庫負担なしで高率の取引マージンを確保するという流れを作り出し、書籍流通の不便で生産性が低い仕組みや書籍在庫を省き、売上を伸ばしている。

iPhonやiPadのアプリはソフトの価格破壊も引き起こしており、簡単ソフトなら数百円で利用できるという状態でパソコンソフトの流通にまで影響を与えるだろう。生活や企業の業務の無駄を省き、貢献する機械やサービスが大きく伸びることを否定する人はいないだろう。この流れに逆らう抵抗勢力側企業は相当苦しい経営を迫られることになることは間違いない。経営の枠組みの刷新を迫られている企業は早
く決断してギアチェンジすることが重要だ。

訂正:前号のメールマガジンで「あきない総研の吉田雅樹社長」とありましたが、正しくは「かいない総研の吉田雅紀社長」でした。ご迷惑をおかけしました。

  • 作成:2010-04-07 (水) - 岡 聡コンサルタントブログ
  • Comments:0

    Comment Form

    (いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

    Remember personal info

    Trackback:0

    TrackBack URL for this entry
    http://oka.secret.jp/cgi-bin/mt-tb.cgi/218
    Listed below are links to weblogs that reference
    省く企業が伸び続ける from 経営コンサルタント 岡 聡

    Home > 省く企業が伸び続ける

    Search
    Feeds

    Page Top