今こそあるべき企業作り、あるべき店作りを考えよう

長く商売を続けているとあるべき企業作り、あるべき店作りが見えなくなったり、振り返ることを忘れてしまったりすることがあります。

あるべき姿を明確にすることはとても重要です。あるべき姿は自分たちのビジョンだとか理想と考える状態をいいます。この姿と現在の姿を比較して何をやっていかないとそうならないのか、どんな準備をしなければそこに、たどり着かないのかを明確化するために必要なものです。

ところが最初にお話したように案外これが難しいわけです。ビジネス自体が惰性になってしまうことも多いですし、逆に忙しい忙しいといいながら単純作業や流れ作業の中でビジネスを革新することが後回しになってしまったり、時流に適応させていくための修正や改革に出遅れてしまったりするわけです。

あるべき姿を明確にしないと企業として１）守り続けなければならないもの　２）変えていかなければならないもの　が社内で混同されたり、混乱したなかで論議ばかりが続くということになりかねません。このあたりのそもそも論が整理されていないと部分最適は実現できても全体最適ができなくなってしまったり、現在最適は実現できても将来最適ができなかったりします。

瀕死の状態であった日産自動車をリバイバルさせたカルロスゴーン氏の功績は誰しもが認めるところですが、氏の話を以前、日産のグループ会社社長から興味深く説明を受けたことがあります。その内容は「日産自動車プロパーの社長ではどうしても踏み込めない領域があったのだと思います。その領域に踏み込まずあーだ、こーだと論議が続く中、経営は厳しい状態になっていったわけです。ところが外人社長である氏は社長に就任すると、さっさとあるべき姿めがけて動き出し強烈なリーダーシップで不良資産、遊休資産を売り払い、財務面の問題の方をつけてしまったわけです。

バブル後の社会の変化の中で鍛えられた企業、淘汰された企業それぞれ多くあるわけですが、今また大きな社会の変化の中で鍛えられつつある企業、淘汰されようとする企業が出て来ています。そのような中でコンサルタントは外部の人間とはいえ、客観的な判断で経営改革の後押しをしてもらえないかと依頼されるわけです。最近はそういう依頼がとても多いわけです。奇しくもアメリカでマイノリティ出身のオバマ大統領が誕生したり、日本でも５０年レベルの政権交代が実現し大きな変化を迎えています。これらはそれぞれがどうにもならない状態は同じメンバーが同じような思考をしているだけではどうにもならないので新しい発想とアイデアを持ち、実際に行動するエネルギーをもっている人に任せてみようと考える民意が実現させたものだと思います。

私は経営者は社員とその家族の物心両面の未来を考える責任を持っている存在だと思いますし、私が出会ったこれまでの多くの経営者はその話を常に強く語ってくれました。そうはいっても紺屋の白袴状態になって自分たちのあるべき姿が間違ったものであるのではないか、あるべき姿に関してそこそこの自信があるが確信と自信が欲しいために専門のコンサルタントに客観的に評価してもらおう、そういうニーズが仕事を発生させているのだと思います。

国の政権交代はとても難しいものだと思います。同様に企業の政権交代＝社長の交代、幹部の交代もとても難しいものです。事業承継などを考えなければならない中小オーナー企業は事業承継のバトンパスは大きな賭けにもなります。パスミスしてバトンを落とさないためにもこれからの時代の行く末を見極め、速度を落としてバトンの受け渡しをするのではなく全速力でパスができるぐらい自信をもったあるべき姿のイメージ化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

具体的には５年後に企業がどうなっているかを考えてみて、できるだけ具体的に人に話をしてみることです。これができない方は一度、声をかけてください。未来への確信が持てるように強みの発見、引き
出しに基づいたお手伝いをさせていただくことができるでしょう。