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一歩前に出る人、一歩後ろに下がる人

コンサルタントはクライアント企業において人事権も、採用権も持ちえていません。コンサルタント自身とコンサルタントの所属する会社の信用と権威、練り上げられた言葉と図表、段取り力でクライアントの人、物、カネの使い方に影響を与え、経営バランスに変化をつけて業績を向上させようとします。わかりやすく言えば権限を持っている経営者や幹部に”人、物、カネの使い方をこう変えていきましょう”と働きかけ、企業活動そのものや働く社員の仕事の仕方、そして経営トップや幹部の心まで変化させていくことを業務としているわけです。ですから、人を動かすエネルギーとなる概念や言葉は研ぎ澄まされたキーワードを用いて、納得を引き出します。クライアントの夢を理解し、その夢の向かって着々と進むように組織を動かしていくのが仕事ということなのです。

人は頭で考えたことを、その通りできるわけではありません。例えば、「幸せになりたい。そのために努力して勉強していきたい」と考えていても、実際に毎日の行動をその夢に向かって無駄なく調整・修正していくことはなかなか難しいのです。今日ぐらいは良いだろうとサボったり、勉強せずに遊んでしまったりするのが普通なのです。ですから優秀な人とは”自分自身への約束””心に誓った必達目標””絶対にやりとげるという執念や誓い”に対して忠実な人なのだと思います。その人たち全てが天才であったり、超ラッキーであった人なのではなく、自分自身に正直な生き方をしているだけなのかもしれません。

成長を志向する時には、必ずこれまで作り上げてきた仕組みや商品の限界枠を突き破り、人も企業も”一皮向ける”挑戦に取り組まないといけないはずです。そういう時には波風も多く立つもので、難問やピンチ、クレームもやってきます。このような状況に面した時には、自分自身が未経験の状況の中で正しい対応を考え、すっきりと行動したいものなのですが、この未体験、未知の状況に出あったときに、積極的に変化を受け入れ、一歩前向きに対応したいという姿勢と発言をする人と、未知の状況なのでしばらく様子を見させて欲しい、もしくは私ではなく他の誰かにやらせて欲しい、初めてのことなのだから動けなくても多めに見て欲しいと、自分の身を一歩下げてリスク回避をはかろうという人が必ず出てきます。

最近、仕事の現場でそのような人や状況と多く出会うようになりました。企業が”変らなきゃ”と考える時代になっているのに、変化や挑戦を無意識に嫌い、できるだけ火の粉が自分に降りかからないように保身に周り、様子を伺う人を見ることが多いのです。そういう人は発言も行動も無意識のうちにネガティブになっているのですが、本人は全然気がついていません。まるで他の人と同じように普通にやっていると考えているのです。周囲から見ると困った状況なのに本人は全然気がついておらず、時として積極的にやっているように勘違いしているようなケースさえあります。

未知の状況、新しい体験は通常、年齢を重ねるごとに少なくなっていくものです。それは経験が豊富になって対応力がついてきたということだけが理由ではなく知らず知らず”一歩下がった志向”となって未知の状況、新しい体験を避けるようになってきていることも大きな理由なのです。また様子をしばらく見て、うまく行きそうになったら周囲に同調しようという動きも含めて”一歩下がった人間”にはなるべきではありません。

できるだけ積極的に困ったこと、未知のことにも立ち向かう”心の若さ”が企業にも人にも必要な時代だと思います。"一歩下がった人”は格差の時代にはどんどん”一歩前にでる人”から離されていくのだということよく知っておいて欲しいと思います。

  • 作成:2010-08-17 (火) - 岡 聡コンサルタントブログ
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