「グレートカンパニーを目指す」というあり方

船井総研は今年、タグライン（コーポレートコピー）を”明日のグレートカンパニーを創る”と決めました。このグレートカンパニーという概念は現会長の小山政彦が２００７年に出版した「挑戦！グレートカンパニーへの道」という書籍で提唱したものです。その書籍では”社員の人間性が高まり、その企業の一員であることに誇りが持てる企業をめざせ”という事が語られています。このグレートカンパニーという概念を創業４０周年の記念の年に企業としての本丸のメッセージとして日本国中の企業に伝えようと決めたわけです。

われわれ船井総研という会社は現場コンサルティングを行いながら企業にレクチャーする以上、自分たちの会社も”クライアントに重要だと伝えていることは自分たち船井総研でも同様に取り組まないとうそになる”と語り合って、経営を行っている会社です。それは創業者の船井幸雄先生の時代から変わりません。ですからこの”明日のグレートカンパニーを創る”という言葉は、われわれはクライアントである企業をそうしたいし、われわれ船井総合研究所の会社もグレートカンパニーと呼ばれる企業を目指したいということの二つの意味を持っているわけです。

昨年、創業４０周年を控え、幹部の中で４０周年を迎えるに向かって今後、何を目指すのか、そのために４０周年の節目の年に何を具体的に実施するのかを話しあいました。その中から、「グレートカンパニーアワード」を４０周年記念式典にあわせて実施しようということが決まりました。それは５０００社を超える企業と毎年お付き合いをしている船井総合研究所だからこそ認識している”これは凄い”という強みを持っている企業を表彰する企画でした。ご存知のように船井流では長所伸展と一番主義、包み込みという概念を機軸にコンサルティングを展開しています。この一番主義は二番手以下の企業、中小企業、後発企業を支援する中で、どうすれば一番企業になれるかということを伝え、具体的な取り組みとして部分からはじめ、やがては全体で一番を勝ち取れる企業になろう、その最初の第一歩は自分の長所であり、得意なことで良いというものです。

実際にこの取り組みを行う場合、他社と同じような分野で張り合い真っ向勝負でナンバーワン化を狙う方法もあるのですが、最も大切な視点は”企業が成長してからも追随できる企業が存在しない分野は無いか？”というものです。できればナンバーワンではなくオンリーワンを小さく産んで大きく育てていくという作戦です。実はこの視点とグレートカンパニーという概念は連動しています。昨年の第一回グレートカンパニーアワード受賞企業どの企業を見ても、他社がびっくりするような一番の部分を持っていますし、オンリーワンの要素を受賞企業それぞれが数多く備えているのです。そしてその企業を見るとある共通する要素が透けて見えます。それは以下のとおりです。

１）トップが強い信念を持っていること
２）トップが先頭に立ち独自固有の長所を伸ばそうとしている
３）企業規模が大きくなっても中小企業の趣をもっている
４）「売上追求主義」ではなく「自分達の会社らしさ追求主義」
５）社員に笑顔と感謝の気持ち、社風に自由と助け合いが存在

経営トップの方のお話を聞いてみるとわかるのですが、以上のような要素はどの会社においても結果として産まれたのではなく、それこそトップが最初からそう願ってできた結果としてのものであるというのも面白い共通要素です。

日本の企業経営は長くアメリカの経営手法の追従型でした。ところが、移民を受け入れ人口を増やし膨張拡大を志向するアメリカと人口減少が進み、縮小経済の中で豊かさを求めなければならなくなってきた日本とは、近い将来同じ路線で進むことはできなくなるはずです。おそらくアメリカ路線は中国が志向していき、日本はヨーロッパ型の価値観や暮らしの路線に転換せざるを得なくなるはずです。そういう時代に向けてさらにこのグレートカンパニーという概念は重要になると私は信じています。そしてそういう目で見ると日本の至る所に時代の大きな波動変化に耐え、創業数百年の時を経て独自性を発揮しているグレートな企業が多く存在することにも気がつくはずです。船井総研も１００年を超え存続する企業をまずは目指し、次の世代と社会にグレートと呼ばれるようになりたいと願っています。