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関西流通戦争(2)

JR大阪三越伊勢丹の出店で賑わう大阪のキタのエリアに対してミナミのエリアも大きく変貌を遂げようとしています。

3月2日にはなんばで高島屋大阪店の増床第一期オープンがあったわけですが、それ以上の衝撃がミナミ・阿倍野地区に走っています。それがあべのキューズタウンです。地元地権者ゾーンのヴィアあべのウォークと東急不動産が運営するあべのマーケットパークキューズモールが合体した大阪府下最大級の商業施設です。中心はキューズモールです。現在250店舗のSCとしてオープンしていますが、徐々に店舗を増やし320店舗規模までの拡大が予定されています。このキューズモールが相当好調なのです。テレビではJR大阪駅のニュースが大きな話題となっているのですが、おそらく流通関係者にはキューズモールの方の注目度が今後高まってくると思われます。毎日、相当な賑わいで不況とか、震災自粛というような雰囲気を吹っ飛ばすパワフルな商業施設です。

このキューズモールのアンカーテナントは大阪市内初出店のイトーヨーカ堂です。イトーヨーカ堂は西日本では一部の店舗を除いて苦戦が続いている店舗が多いのですが、この店舗は練り上げられたMDでオープンから好調なスタートをきっています。特に注目なのは食品売場です。平場と専門店を店内競合させるAPITAなどが採用している売場構成をとっているのも特徴的ですが、テナントが高からず低からず、大阪地区の特性にあわせた地域密着型のテナント誘致などベタな感覚のデパチカ感覚が魅力的です。

イトーヨーカ堂は人口密度の高い関東地区での実績とノウハウが大きいため、総じて人口密度の低い関西以西のGMSが不調となる傾向がありますが、この店舗は都心に残された数少ない大商圏人口のエリアです。その立地特性を上手に活かし、イトーヨーカ堂らしく新しい挑戦に取り組んでいます。周辺では近鉄百貨店が社運をかけて西側部分に阿部野橋ターミナルビルタワー館を建設中であり、これが完成すると日本最大級の百貨店となる予定です。この近鉄から目と鼻の先にできたキューズモールはターゲットを百貨店ターゲットと明確に区分けしヤングからシニアまで幅広い客層の獲得を狙っています。ヨーカ堂の入り口部分の専門店コーナーにはお付き合い先の三日月百子さんの店舗も入居していますが客層も近隣他店と違い、年齢層も20代カップルなどが多数入店してきて大忙しのようです。このキューズモールはGMSというような形ではなく、複合型の専門店集積SCなのも特徴的です。

すでに開業時の騒然とした雰囲気から落ち着きを見せているJR大阪駅、キューズモールですが、一部新聞発表でもキューズモールが1ヶ月56億円の売上。JR大阪三越伊勢丹隣の専門店ルクアが5月4日オープンで5月度30億円超ということですから、キューズモールの好調が目を引きます。

百貨店、GMSが不調の今、新しい専門店集積型商業施設には目が離せないようです。

ちなみに食品が好調なキューズモールのヨーカ堂ですが、衣料品、住関連売場も部門間垣根を下げたMDに挑戦などしているようですが、まだまだ魅力的な売場にはなっていないように思われます。現時点では買いづらい、入りづらい売場から脱却した程度なようです。食品以外の売場作りはさらに今後に期待した方が良いように思います。

  • 作成:2011-06-06 (月) - 岡 聡コンサルタントブログ
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